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羽毛布団を捨てる前に、知ってほしいこと

羽毛布団は買った方が安い
でもその前に、
“水鳥からいただく”羽毛について、少し、考えてみませんか?

羽毛布団の価格は値下がりし、リフォームするより安価で手に入る、お値打ちな羽毛布団が市場に溢れています。
でも、そのお布団を捨てる前に、新しい羽毛布団を買う前に、
羽毛がどうやって私たちの手元に届くのか、少しでも多くの皆様に、知っていただきたいと思います。


羽毛布団に使われている「羽毛」って?

多くの羽毛布団には、アヒル(ダック)やガチョウ(グース)の羽毛が使われています。

アヒルは、マガモを飼いならして家禽化するうち、体が大きく重くなり、翼が小さくなって、数メートルしか飛べなくなったものと言われています。
年間で150~200個の卵を生み、30日ほどでヒナが孵化します。
生まれたヒナが卵を産むまでに成長するのは、5~6ヶ月。繁殖が可能になるのは、7ヶ月前後です。
家禽用の穀物類や、野菜、果物の他、食肉なども食べる雑食性。
寿命は5~20年ほどです。


ガチョウは、野生の雁を飼いならして家禽化したもの。家禽としての歴史は古く、ニワトリと並び、古代エジプト時代から家禽化されていた記録があります。
雁と似ていますが、体が大きく、飛ぶ力はほとんどありません。
粗食に耐えながら、短期間で成長し、肉質も羽毛も優れていることから、肉は食用に、羽毛はダウンジャケットや羽毛布団に使われています。日本ではあまり食べられませんが、海外では卵も食用となります。


羽毛は家禽の「副産物」として使われてきましたが…

羽毛は、こうした家禽の「副産物」として、副次的なものとして利用されてきました。
しかし、近年、こうした食肉の生産量にも変化が見られています。

これまで、一番多く生産されていたのが豚肉、次いで鶏肉(ニワトリ)でしたが、2018年には、ニワトリが豚を抜いて、最も多く食肉として生産される、と言われています。これは、ニワトリが、牛や豚に比べて狭い場所で・少ない餌で飼育できることが要因です。

世界的なニワトリ(ブロイラー)の急増で、食用としてのアヒルやガチョウの飼育数が下降。
その影響で、副産物である羽毛原料も減少しているのは当然のことと言えます。


羽毛の流通について

2010年に屠殺された水鳥から羽毛布団を作ったとしたら…

羽毛布団やダウンジャケットに使われる羽毛は、胸の部分から搾取する「ダウン」がほとんどです。
(お持ちの布団やジャケットの「ダウン」と「フェザー」の混合率を見て頂くと、ダウンの方が圧倒的に多いかと思います。)

それぞれ個体差があるため、1枚の羽毛布団に何羽の水鳥のダウンが使われているか断定はできませんが、概ね、
ダックなら100~150羽、グースなら70~100羽くらいと考えられます。

たとえば、2010年に、食肉用として屠殺された水鳥で羽毛布団だけを作ったとすると、
ダックで873万枚分、グースで312.5万枚分となります。


衣料品やホテル用の布団など、ダウンの需要は拡大傾向。

実際には、フェザーも含んでカウントしているのか、羽毛原料の世界での流通量は、もう少し多いようですが、もちろん、ダウンを使うのは羽毛布団だけではありません。
特に、衣料品の分野では、ダウンの需要が顕著です。

また、今後、2020年の東京オリンピックに備えて、ホテル用の羽毛布団の需要拡大も見込まれており、ますます、一般市場向けの羽毛布団の原料の供給は難しい状況が続くことに間違いはありません。


羽毛の低価格化

食肉用の水鳥は減っているはずなのに…羽毛の輸入量は増加・価格は降下しているという現実。

平成28(2016)年上半期羽毛輸入

輸入数量ベスト10カ国(単位:kg)

1 中国 636,884
2 台湾 421,842
3 フランス 117,917
4 ポーランド 54,083
  その他 156,738
  合計 1,387,464

輸入金額ベスト10カ国(単位:千円)

1 中国 2,099,618
2 台湾 1,586,504
3 ポーランド 664,435
4 フランス 495,371
  その他 1,020,006
  合計 5,865,934

※2016.8.22「ホームリビング/寝装ジャーナル」(株式会社アイク刊)より

 


2016年、ホームファニシングの専門誌「ホームリビング(寝装ジャーナル)」が、財務省の貿易統計を元に、羽毛の輸入状況をまとめています。

その中で、2016年1月~6月の上半期での羽毛輸入は、
①数量は前年同期比32.9%増の138万7,464kg
②金額は同6.6%減の58億6,593万4,000円
と、数量は大幅に増加しているのに対し、金額はマイナスとなっている実態を掲載しています。

輸入量と金額のこれだけ大きな乖離が見られたのは、2003年以降の調査でははじめてとのこと。

食肉用の水鳥は減少しているのに、羽毛は増加している…

これが、羽毛の流通の現状なのです。

「ライフハンドピック」という、残酷な現実

聞こえの良い言葉ではごまかされない、水鳥たちを苦しめる羽毛の採取方法

前述の通り、家禽を食肉としていただく際の、副産物として生まれるのが通常の「羽毛」。

しかし、需要拡大に対し、供給をまかなうために、
生きたまま羽をむしる
「ライフハンドピック」
が未だに行われているという現実があります。


しかも、一度だけではなく、二度・三度と、生きている間に羽をむしる生産者もいます。

「ハンドピック」という、いかにも手作りのような聞こえの良い言葉。

しかし、実際には、水鳥たちを苦しめる採取方法なのです。


これまで日本では、副産物としていただく羽毛と、生きたまま羽をむしった羽毛、どちらに対しても「ハンドピック」「手摘み」といった表記をしてきましたが、2009年から、副産物としての羽毛に対しては、手を使って採取していても、同様の表現は使わないように通達されています。

また、「ライフハンドピック」に対しては、国際的に活動している動物愛護団体からの非難や法廷闘争などが相次いでおり、寝具・衣料品業界のみならず、愛護団体にまで、その惨状は、世界的に広く知られるところとなっています。

それでも、需要の拡大とともに、生産性・低価格を重視する業者の中でなくならない、「ライフハンドピック」。

この現実を、みなさまなら、どう考えますか?

水鳥からいただいた資源が、粗大ごみに

東京都の粗大ごみNo.1は「ふとん」。年間で94万枚。

東京23区のごみ処理を行っている、東京二十三区清掃一部事務組合が発表した、平成27年の清掃事業年報によると、家庭からの粗大ごみで一番多く出されているのは、平成21年からの7年間、ダントツで「ふとん」です。

年々数も増加しており、平成27年には、年間94万枚を越えるふとんが粗大ゴミとして出されています。

また、衣料品とは異なり、リユースが難しいのも「ふとん」の特徴。

羽毛布団は、小さな羽毛を外に出さないよう、側地に高密度の繊維を使っています。多くは、水の浸透も難しいような「ダウンプルーフ」加工を施してあり、家庭で洗濯をしても、中までキレイに洗うことは難しい状態です。

また、業者で中身までキレイにクリーニングしていても、リユースには抵抗を感じる人も多く、捨てられた布団は、廃棄される場合が非常に多いのです。

東京23区・粗大ごみの回収個数推移(単位:個)

  品目 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
1 ふとん 620,450 644,364 736,614 799,144 885,385 904,733 944,529
2 箱物家具 516,796 576,099 593,900 647,496 732,884 642,858 723,452
3 いす・ソファー 417,670 450,396 499,939 501,657 530,546 528,056 572,290
4 衣装箱 222,582 247,860 288,636 309,015 328,222 330,435 347,190
5 テーブル 191,233 203,190 237,460 233,330 251,976 260,153 262,804

※「清掃事業年報(平成27年度)」(東京二十三区清掃一部事務組合 発行)より

大切な羽毛のために、
生き物との共存のために、
私たちに できることから すこしずつ。

安い羽毛が溢れているのには、ワケがあります。
私たちの生活を豊かにしてくれている水鳥たち。
その布団を捨てる前に…いのちをいただく重みを、考えるきっかけになれば幸いです。